朝鮮音楽の研究

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の音楽・軍歌・歌謡を翻訳。現在100曲収録を目指しています。開設:チュチェ104(2015)年4月23日 ※2016/8/22 コメント欄開放 姉妹サイト:http://www.geocities.jp/totalwar1939/

萌えミリに注意せよ~『艦これ』を主題として~

(以前書いた文章ですが、掲載する場所もないのでここにUPしておきます。

朝鮮音楽とは何の関係もないので、その点は留意してください。)

 

今日は久しぶりに秋葉原に赴き、とらのあな等で漫画や同人誌を購入してきたのですが、諸事情からアニメ・漫画といったジャンルから数年ほど遠ざかっていたこともあり、昨今の漫画・アニメの現状を知ることができ、とても楽しい時間を過ごしました。
私は戦史オタクでありまして、以前から同人界隈もやっぱりミリタリー系を中心に首を突っ込んでいました。
いくつか気に入った同人誌がありましたが、何分金欠であり、所持金の残高と相談した結果ほとんどの購入を見送ったのですが、
すてんがん工廠様の朝鮮人民軍 兵器識別マニュアル(
http://www.toranoana.jp/esmart/d/04/0030/52/88/040030528830.html?rec=genre

などは目を引くものでありました。
実は中身を見ていないのですが、2017年4月発行ということなので、最近の新型戦略ミサイルもある程度カバーしているはずなので、
朝鮮人民軍オタクは購入を検討されてはいかがでしょうか(とらのあな通販サイトに掲載されているサークルのコメント「戦争になる前に敵の情報を覚えておきましょう。」は妙に朝鮮との戦争を意識している点、朝鮮を明確に敵と記述している点など、宣伝文句としてもネトウヨ感があってちょっといただけませんが・・・)。

さて、そういうわけで同人誌や漫画をいろいろと見ていたら、妙に「萌えミリ」系の漫画が多いことに気づきました。
これまで漫画・アニメ・ゲーム等々において「萌え」とミリタリーの組み合わせはずいぶん前から試みが続けられ、『ストライク・ウィッチーズ』や『ガルパン』、『艦これ』などのヒットを飛ばし、いつの間にか軍事界隈の一大コンテンツの様相を見せているといえます。
しかし率直に言って、こうした「萌えミリ」の氾濫と、それを受容してしまう購買層の姿勢には少々疑問符を付けざるをえないのです。

安易な擬人化(女体化)を行う意義とはなんでしょうか。

そのことについて、『艦これ』を例にとって考えてみます。
ご承知の通り『艦これ』の世界では、大日本帝国を中心としたWW2時代の世界中の海軍保有国の軍用艦艇が擬人化され、史実を下敷きとして
様々な設定も存在し、同人の世界でも史実ネタと絡めた描写が多くされるようです。
しかしこれはあくまで特定の二次元美少女キャラに付与された「設定」であり、艦娘としての「愛宕」を通してレイテ沖海戦を理解しようとか、そういう試みはナンセンスなのですが、どういうわけか『艦これ』を通じて戦史を理解しようなどという暴挙がまかり通っているのです。
『艦これ』はあくまで史実を題材にした「二次創作」でしかないわけで、艦娘を通じて実艦を認知し、戦史に通暁せんとするはまことに愚かしいことです。
艦娘を愛好することは、その元ネタとなった艦艇について知っていることにはなりません。
本当に軍用艦艇が好きならば、海戦史が好きならば、活字でしかない印刷媒体のカタログスペックや航跡図、艦隊編成図などにこそ興奮するはずであり、
性質上、徹頭徹尾に戦争を主眼に据えた無機物である軍用艦艇をあえて擬人化、女性化することでしか愛好できないとすれば、それは単なる萌えキャラクター愛好者であり、決して軍オタではありません。
「国家指導者・戦争指導者の女体化」なる現象もあり、こうなると筆者などにはもはや理解しがたい領域であるように思われます。
ロンメルなんか通算何回ほど女性キャラにされているのでしょうか。

なんか誤解されるといけないので言明しておきますが、これは決して「軍事・戦争と女性」との関係性を否定したわけではありません。
それどころか、戦争によって女性の社会進出が進んだという事例は、第一次世界大戦におけるイギリスなどを見れば明らかであり、総力戦体制において女性の果たす役割というのは「銃後の守り」的なものだけでは決してなく、積極的な戦争参加の道が開かれており、実際に女性の戦争参画は世界史上枚挙にいとまがありません。
螺旋人先生の漫画(確か『靴ずれ戦線』)のコラムにも、ソ連戦車兵には妻が車長、夫が砲手を務めていた例が存在したとあったはずです。
このように考えれば、一部フェミニストの主張である「女性は本質的に戦争に反対している」というたぐいの話は全くのウソであることは自明なのですが、どうも分からず屋の多い世の中で。

まとめとして、安易な「萌えミリ」は、軍事趣味の質を低下させかねない危険を孕んでいるものであり、
例えば全く軍事に興味を持てないアニオタが何らかの理由で是が非でも軍事オタクにならないといけない(オタクなんて強制されてなるものではありませんが)、といった特殊な事例において入門として用いるのは構わないのでしょうが、
また、これによって自らを「軍事オタク」であり「軍事に精通している」と勘違いしてしまうキャラオタが増殖してしまうことで研究の質を悪くしてしまう可能性を常に持っていることも自覚しておく必要があるでしょう。

そのうえで、筆者個人の感覚としては、萌えミリなどというジャンルには全く興味を持つことができないのであります。