朝鮮音楽の研究

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の音楽・軍歌・歌謡を翻訳。現在300曲収録を目指しています。開設:チュチェ104(2015)年4月23日 ※2016/8/22 コメント欄開放 姉妹サイト:http://www.geocities.jp/totalwar1939/

金日成元帥に捧げる歌(김일성원수께 드리는 노래)

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1956年創作の『金日成元帥に捧げる歌』(作詞:ウォン・ジョンソ(원종소)
作曲:パク・ハンギュ(박한규)の訳。

 

 

白頭の密林から明け出でたこの朝
我らは首領の歌を誇りより歌う
この歌は抑圧された者を勇士に育て
いつも勝利へと鼓舞してくれる
この歌は仇敵には死を与え
勝利した祖国に響き渡る

(リフレイン)

ああ いつも親しき我らの首領 金日成元帥

我らは心で高く呼び慕う


この国には美しい歌が多くても
我らは首領の歌を栄光より歌う
この歌を胸に抱き育った我ら
戦場ごとに仇敵を撃ち破った
この歌は高地ごとに英雄を生み
村と街ごとに栄光を与える

(リフレイン)

 

絢爛なる太陽のもとで幸福は花咲き
我らは首領の歌を声高く歌う
この歌は南の兄弟を呼び起し
心ひとつに 統一のために戦う
この歌は仇敵を打ち負かし
この地に社会主義を花咲かす

 (リフレイン)

 

백두의 밀림에서 밝아온 이 아침
우리는 수령의 노래 자랑으로 부르네
이 노래 억눌렸던자 용사로 키워
언제나 승리에로 고무해 주네
이 노래 원쑤에겐 죽음을 주고
승리한 조국땅에 울려 퍼지네

아 언제나 친근한 우리 수령 김일성원수
우리들은 심장으로 높이 부르네


이 나라 아름다운 노래 많아도
우리는 수령의 노래 영광으로 부르네
이 노래 가슴에 지녀 자라난 우리
싸움터마다에서 원쑤 부셨네
이 노래 고지마다 영웅을 낳고
마을과 거리마다 영광을 주네

아 언제나 친근한 우리 수령 김일성원수
우리들은 심장으로 높이 부르네

 


찬란한 태양아래 행복은 꽃피고
우리는 수령의 노래 소리높이 부르네
이 노래 남녘의 형제 불러 일으켜
한마음 통일 위하여 싸워 나가네
이 노래 원쑤들을 짓누르면서
이 땅에 사회주의 꽃피게 하네

아 언제나 친근한 우리 수령 김일성원수
우리들은 심장으로 높이 부르네

 

 

 

解説。1956年という創作年度を見て、北朝鮮史に詳しい方はある事件を想起するに違いない。八月宗派事件である。

1956年当時の朝鮮労働党内部の情勢は、朝鮮戦争における金日成の稚拙な戦争指導による敗戦を見て、解放時にソ連共産党を通じて送り込まれたソ連派や、同じく中国共産党系の延安派を中心に反金日成派が勢力を伸ばしつつあった。

そうした動きは1956年2月、フルシチョフソ連共産党第20回党大会で非スターリン化運動を開始したのを受けいっそう活性化され、ソ連派と延安派が共同して金日成を引きずり下ろすクーデターを計画した。

金日成派は、ソ連におけるスターリン批判の論理、すなわち個人崇拝批判を朝鮮国内においても適用し金日成を排除しようと試みた。

金日成派はただちにこの動きを察知し、同年8月末の党全体会議では、反金日成派を「他国の論理を朝鮮国内にまで適用しようとする教条主義者」であると批判した。また金日成派は自身の存在論にも言及し、党を細胞、人民大衆を筋肉、首領を脳髄にたとえ、脳髄たる首領は単なる個人の域にとどまるものではないとし、「個人崇拝」批判を行う者は宗派分子であると位置づけ、彼らを粛清した。

これが八月宗派事件の簡単ないきさつだが、この『金日成元帥に捧げる歌』が金日成派の党内闘争で勝利したのを受けて創作されたのは、ほぼ間違いないといえる。

また、『金日成元帥に捧げる歌』は現在歌われている金日成にかんする歌の中では『金日成将軍の歌』を除き最も古い部類の曲に入る。これは、この歌の創作時期を境に金日成の絶対化が急速に推し進められたことを意味する。

こうしたことからも、金日成が数多の政敵を粛清し、「首領」として北朝鮮に絶対的存在として君臨する過程を如実に示す歌であるといえる。

 

楽譜

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 動画